前回、Obsidianの基本思想について書きました。ノートが個別ファイルとして手元に残ること。アプリに縛られない安心感。そしてその上にある「拡張性」のすごさ。
今回はその拡張性の中核、コミュニティプラグインの話をします。
コミュニティプラグインとは何か
Obsidianには、公式が提供する「コアプラグイン」のほかに、世界中の開発者が自発的に作り公開している「コミュニティプラグイン」があります。その数、2000を超えています。
これらはすべて無料で使えます。Obsidianの設定画面から検索し、ワンクリックで導入できる。この手軽さがまず素晴らしい。
「プラグイン」と聞くと、プログラマー向けの難しいものを想像するかもしれません。でも実際は違います。設定画面で気になるものを見つけて、インストールボタンを押すだけ。スマホにアプリを入れる感覚とほとんど変わりません。
道具は「合わせてもらう」より「自分で合わせる」ほうが強い
多くのアプリは「このアプリのやり方に合わせてください」という設計です。便利な反面、自分の流儀とずれたとき、我慢するか諦めるかしかない。
Obsidianは逆です。最小限の骨格だけを提供し、あとは使う人が自分の手で育てていく。コミュニティプラグインは、その「育てる手段」そのものです。
たとえば私の場合、こんなプラグインが日常を支えています。
- Templater:ノートの定型テンプレートを自動挿入してくれる。日報、会議メモ、ブログの下書き。それぞれの「初期構造」をあらかじめ作っておけば、新しいノートを開いた瞬間に骨格が整った状態で書き始められる。毎回ゼロから書き出す手間がなくなった。
- Style Settings:テーマの色やフォント、余白を細かく調整できる。前回紹介したBlue Topazテーマに組み合わせて、カテゴリー別の色分けなどを仕上げた。目に合った画面を自分で作れるのは想像以上に快適。
- Dataview:ノートをデータベースのように集計・検索できる。たとえば「今月書いたノートの一覧」「特定のタグがついた記事だけ抽出」といったことが、簡単なコードで実現できる。蓄積した情報を「使える形」に変えてくれる、地味だけど強力な存在。
- Excalidraw:手書き風の図やスケッチをノート内に直接描ける。アイデアの整理や概念図の作成に重宝している。テキストだけでは伝わりにくい思考の流れを、さっと視覚化できるのがいい。
- Obsidian Clipper:ウェブ上の記事や情報をワンクリックでObsidianに取り込める。ブラウザで見つけた参考情報を、自分のノートに素早く蓄積できる。あとから読み返したい記事が散逸しなくなった。
どれも「あったら便利」ではなく、「これがないと困る」レベルにまで育った道具です。
「好き」が原動力のエコシステム
コミュニティプラグインの開発者たちは、Obsidianの思想に共感した有志です。企業の指示ではなく、「自分が欲しいから作った」という動機で生まれたものが多い。だからこそ、現場感のある、かゆいところに手が届く機能が揃っています。
しかも開発が活発です。ユーザーからのフィードバックが反映され、日々改善されていく。この「育ち続ける生態系」に身を置けることが、Obsidianを使う大きな価値だと思います。
不具合が出ても、コミュニティのフォーラムやGitHubで質問すれば、開発者本人や他のユーザーから返事がもらえることも多い。商用アプリのサポート窓口より、よほど早くて的確なこともあります。
怖がらなくていい。合わなければ外せばいい
「プラグインを入れすぎて不安定になったらどうしよう」という心配もあるかもしれません。でも安心してください。プラグインはいつでもワンクリックで無効化・削除できます。試してみて合わなければ、外せばいいだけ。
Obsidianの本体データ(ノートのファイル)にプラグインが影響することは基本的にありません。ノートはあくまでMarkdownのテキストファイルとして独立しています。だから気軽に試せる。この気軽さも、Obsidianの設計思想の一部なのだと感じます。
最初から全部揃えようとしなくていい。使いながら「ここが不便だな」と思ったとき、解決してくれるプラグインを一つ入れる。その繰り返しで、気がつけば自分にぴったりの環境が出来上がっています。
AI時代に、自分の土台を持つこと
ChatGPTをはじめとする生成AIが日常に溶け込んできた今、「自分の知見をどこに蓄積するか」はますます重要になっています。AIに聞けば答えは返ってきますが、自分の文脈に沿った知識の蓄積は、自分で持つしかない。
私が最近特に注目しているのが Smart Composer というプラグインです。Obsidianの中でAIと対話できるようになる。自分の蓄積したノートを参照しながらAIに質問したり、文章の壁打ちをしたりできる。つまり、自分のナレッジベースとAIが直接つながるのです。
Obsidianにコミュニティプラグインを加えることで、記録・整理・検索・発信の流れが一本につながります。そこにAIが加わることで、蓄積した知見が「ただ溜まっている」状態から「活用される」状態へと変わっていく。
自分の思考と経験を「育てる基盤」として、これほど自由度の高い道具は他にないと感じています。
まずは一つ、気になるプラグインを入れてみてください。それだけでObsidianの景色が変わります。
次回予告
- 私が実際に使っているプラグインの詳しい設定と使い方
- TemplaterとDataviewで「記録の型」を作る方法
- iCloud同期でハマりやすい点と、安定運用のコツ
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